ピアノ技術・整音

ピアノを長年弾いていると、弦をたたくハンマーに、溝ができてきます。3本弦をたたくハンマーならば3つの溝が、2本弦の部分ならば2本の溝が、という具合です。

ハンマーはフェルトでできています。溝ができている部分は押さえつけられ圧縮しているので、当然硬く、この溝のために音が硬化してきます。音は硬化にしたがって「キーン」という硬い音になっていきます。逆にハンマーが柔らかであれば音はその分柔らかくなります。
こうしてよく弾かれる音域の音は硬くなり、あまりに弾かれない部分は元の音質のままとなってしまい、バランスが悪くなってしまいます。
「整音」はピアノの音質自体を、ハンマーに直接変化を起こすことで変えることです。同時にピアノの音域すべてを同 じ音質に整えることでもあります。ハンマーを薄く削ることで溝を少なくしたり、針をさすことでハンマーをやわらかくしたり、また逆にハンマーを硬化させる ことで、音質を変化させていきます。

音のやわらかさ、硬さは演奏者の好みにもよりますが、整音の目的は、低音域から高音域までを同じ音質に近づけることだといえるでしょう。

気をつけなければならないことは例えば針をさすことでやわらかくしてしまった音は、元に戻すことは難しいということです。演奏者の意見を聞きながら少しずつ変化させていきます。